動産先取特権
動産先取特権に関する法律
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動産の先取特権とは以下の動産についてのみ、
他の債務者に先立って弁済を受ける権利を持ちます。
一 不動産の賃貸借→312条〜316条
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務
この動産先取特権は、
不動産先取特権と並んで、「特別先取特権」と呼ばれており、
一般先取特権よりも先立って債務者から弁済を受けることができます。
動産先取特権同士の優先順位は以下のようになっています。

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不動産の賃貸借
AがBに家を賃貸した場合、
通常は敷金が賃料の担保として提供されるが、
家賃の滞納が続き、敷金だけでは不足する場合には、
Bの動産について先取特権があります。
日用品と同様に、安心して貸せるようにしないと
お金がない人は住む場所がなくなってしまうため、
先取特権が認められる。
不動産を賃貸時の先取特権できる動産は、
・借地上に備え付けられた動産
・借地の利用に供した動産
・借地人が占有する借地の天然果実(植物の実のこと)。
・建物に備え付けられた動産
に限定されます。
民法上では、
天然果実は純粋に植物から得られる実のことで、
法定果実は権利から得られる権利収入のことを言います。
不動産賃貸借については民法312条〜316条に記載されています。
旅館の宿泊
旅館に泊まった人がお金を払えない場合、
その人が持っている手荷物について先取特権がある。
旅館の主人は客の手荷物を信頼して、
それを担保にして客を泊めるという
暗黙の意思表示があるから認められている。
最近では、前払いの宿も多いので、
こういう法律も減っているのではないでしょうか。
民法317条に原文があります。
旅客または荷物の運輸
運輸の先取特権は、旅客又は荷物の運送賃及び付随の費用に関し、
運送人の占有する荷物について存在する。
これも旅館の場合と同じような考え方です。
人や荷物を拘束できるので、
手荷物や運送した荷物を担保にできるという暗黙のルールがあります。
民法318条に原文があります。
動産の保存
動産が時効取得で他人に取得されてしまう場合、
それを防ぐための法律的手続き費用など支出した場合、
その費用を動産から先取特権できる。
例えば、Aは所有権が無いのに
Bの動産を占有した場合、
Aが何年間かその状態を維持すると
時効取得と言って、Aの物になってしまいます。
そういうのを防ぐために、
法的にAを排除する費用がかかった場合、
動産からその費用を先立って回収することができる。
種苗又は肥料の供給
種・苗・肥料の代金は、1年以内に種が成長して天然果実を生み出したら、
その果実について先取特権があります。
果実を売って代金の回収を行っていいということです。
農業の労務
農業従事者は直近1年の賃金が支払われない場合、
農業で得られた天然果実から先取特権していい。
つまり、他の債権者に先立って果実を回収し、
その果実を売ってお金にしようねってことです。
工業の労務
物を作る人は直近3ヶ月の賃金が払われない場合、
その人が製作した物から先取特権していい。
自分で作ったものを他の債務者に先立って回収し、
売却して自分の賃金に当てていいってことです。
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