労働契約法
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労働契約法(ろうどうけいやくほう)は、
労働契約に関する基本的な事項を定める法律で、
施行は2008年3月1日とかなり最近の法律です。
この法律は使用者と労働者が個人的に対等な立場で
労働の契約をする場合を想定しています。
個人的なので、
労働組合に参加しない場合、
労働組合法で保護されている権利は当然のことながら
個人の労働契約では与えられないことになります。
「労働組合法」と「労働関係調整法」のおさらいになりますが、
労働組合に入ってると以下の内容が認められます。
@ストライキしても刑法で罰せられない(労組法1条)
A正当なストライキは民法で損害賠償を請求されない。(労組法8条)
B使用者との間で締結した労働協約に、特別の法的効力が付与される。(労組法14〜18条)
C労働協約の地域的の一般的拘束力の拡張適用の申立てができる。(労組法18条)
D不当労働行為に対しての労働委員会への救済申立てができる(労組法27条)
E労働関係調整法により、あっせん・調停・仲裁の申立を行うことができる。
つまり、労働契約だけでは、
ストライキは認められないし、
争議行為をしたら
刑法上で警察に捕まるし、民法上の損害賠償を使用者に請求されます。
そうすると、根本的に労働組合に参加しないと、
一方的に使用者の言うがままの状態にならざるを得ません。
でも、もし会社の労働組合に参加できないときは、
個人で参加できる労働組合ってのがあって
それを「合同組合」といいます。
合同組合とは、
企業内の労働組合とは違い、
所属企業を問わず個人単位で加盟できる労働組合です。
合同労組は
・産業別
・職能別
・産業別・職能別に関係なく組織されるもの(一般合同労組)
の3つの形態があります。
加盟するなら同じ業種の人同士の方が境遇が似ているので、
やりやすいかもしれません。
正社員だけでなく、
契約社員・パートタイマー・派遣労働者、
が加入できます。
これに加入することで、
労働組合には加入しているということで
ストライキの行為など認められるようになります。
労働契約法は1条〜19条です。
比較的すぐに読めるでしょう。
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第1章 総 則 (第1条〜第5条)
(目的)
第一条
この法律は、労働者と使用者の自主的な交渉の下で、
労働契約が合意により成立するという合意の原則により、
合理的な労働条件の決定を円滑にし、
労働者の保護を図りつつ、
個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律では労働者とは、使用者に使用されて労働し、
賃金を支払われる者をいう。
この法律では「使用者」とは、
その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。
(労働契約の原則)
第三条
労働契約は、労働者と使用者が対等の立場で締結、変更すべきものとする。
2 労働契約は、就業の実態を考慮しつつ締結し、変更すべきものとする。
3 労働契約は、仕事と生活のバランスにも配慮しつつ締結し、変更すべきものとする。
4 労働契約は遵守され、誠実に権利、義務を履行しなければならない。
5 労働契約の権利行使は、それを濫用することがあってはならない。
実際には使用者と対等に話せるわけもなく、
権利を要求すれば採用されず、労働契約自体を結べないです。
(労働契約の内容の理解の促進)
第四条
労働契約の内容を労働者に深く理解させるものとする。
労働契約はできる限り書面により確認するものとする。
(期間に定めのある場合の契約でも)
(労働者の安全への配慮)
第五条
労働契約に伴い、労働者の安全を確保して労働できるよう配慮する。
第2章 労働契約の成立及び変更(第6条〜第13条)
(労働契約の成立)
第六条
労働契約は、次の合意で成立する。
使用されて労働することに、労働者が合意すること。
労働に対して賃金を支払うことを使用者が合意すること。
第七条
労働契約を締結する場合、
使用者が合理的な労働条件が定められている
就業規則を労働者に周知させていた場合、
労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。
ただし、就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分はこの限りでない
(労働契約の内容の変更)
第八条
労働者と使用者の合意で労働条件を変更できる。
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条
労働者の不利益になる就業規則の変更を労働者の合意なしにできない。
ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条
労働者の不利益になる就業規則の変更は、不利益の程度、
変更の必要性などを周知させ、合理的なものであるときは、変更してよい。
ただし、就業規則の変更では労働条件が変更されないと合意していた部分は除く。
(就業規則の変更に係る手続)
第十一条
就業規則の変更手続は、
労働基準法(第89条及び第90条)による。
(就業規則違反の労働契約)
第十二条
就業規則で定める基準に達しない労働条件の労働契約は、その部分については無効とする。
無効の部分は、就業規則の基準による。
(法令及び労働協約と就業規則との関係)
第十三条
就業規則が法令、労働協約に反する場合、
反する部分は就業規則として適用しない。
第3章 労働契約の継続及び終了(第14条〜第16条)
(出向)
第十四条
労働者に出向を命ずる場合、
使用者の権利を濫用した場合、命令は無効とする。
(あいつ嫌だから、左遷だ。とか)
(懲戒)
第十五条
労働者を懲戒する場合、
懲戒が労働者の行為や態様などの客観的に合理的な理由を欠き、
(解雇)
第十六条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上で認められない場合は、使用者の権利濫用として無効とする。
このように労働者への不当な人事を
抑制する条文が記載されていますが、
実際はいくらでも正当な感じに物を言えますので
この条文があるから強気に言いたい放題言っていると
不当な扱いを受けます。
例えば、
「君には南アフリカの方に3年出張してもらい、
新しい市場を開拓してもらいたいんだよ。社運がかかっているんだ」
みたいなもっともらしい内容で左遷させられる場合もあります。
第4章 期間の定めのある労働契約(第17条)
第十七条
期間の定めのある労働契約は期間満了までに労働者を解雇できない。
ただし、やむを得ない事由がある場合解雇できる。
期間の定めのある労働契約は、必要以上に短い期間の労働契約を
反復して更新しないよう配慮しなければならない。
(つまり、いつでも解雇できる状態)
以上で労働契約法は終わりです。
基本的に使用者と対等な立場で契約を結ぶという前提が
実状と合わないので、
法律を盾に自分の権利を主張しすぎると痛い目を見るので
注意して下さい。
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